学生目線で、先輩方に多様な「幸せの見つけ方を問う」。
不確実な未来に前を向く、バックキャスティングメディア「FOREFACE」。
ディレクターとして働きながら、2児の母として育児も行い、
社内のロールモデルになっている溝部さん。
就活時期を振り返りながら、仕事選びや学生時代の過ごし方についての考えをお聞きしました。
東京生まれ、東京育ち。上智大学国際教養学部を卒業後、2012年にリクルートコミュニケーションズ(現・リクルート)に入社。ブライダル領域のディレクターとして、結婚式場のマーケティング戦略策定からクリエイティブ制作まで従事。産休・育休を経て、同領域にてSaaSプロダクトの立ち上げなど新規事業を担当。プライベートではトルコ人のパートナーと結婚し、飲食店を経営。男女の双子を子育て中。
―どのような経緯でリクルートに入社を決めたのですか?
大学3年生の就活時に働きたくなくなっちゃって、卒業も遅らせたんです。通常2011年入社のところ、秋に卒業して、一年遅れで入社しました。
その時はやりたいことが本当に見つからなくて、1年バイトしたりしながらダラダラ就活をしていました。そんな中、東日本大震災があって「世の中何が起こるかわからないな」という衝撃を感じました。実は地震の直後に一番最初に内定をいただいたのがリクルートだったんですよ。これもご縁だなと思って入社しました。
―周りが就活し卒業する中で、卒業を1年のばすということも勇気がいると思うのですが、どんな気持ちで就職を延期したのでしょうか。
「やりたくないことはできないな」と感じたからです。人生の中でも長い「働く時間」をイヤイヤやるのは苦痛だし、自分が本当にワクワクしそうな会社で働きたいと思っていました。人生長いので、自分が頑張れるフィールドを見つける方が、1年無理やりやるよりもいいんじゃないかなと思ってました。
―1年間でどうやってやりたいことを見つけましたか?
「仕事で何をするか」ではなくて、「人生でどういうことをしたいのか」「世の中に何を貢献したいか」を1年間考えていました。バイトを通じていろんな人に出会ったり、海外に旅しに行ったりしてましたね。
―就活時期を振り返ってみて、学生にアドバイスをするとしたら・・・?
今振り返ると当時の私は全然世の中のこと知らなかったので、ぜひいろんなところをみてみるのがいいと思います。特にリアルな情報に触れることが大事。就活サイトに載っている情報は、キラキラした部分しかわからないから、ちょっと疑いを持って、中を見に行くということはしたほうがいいです。大学のOBOGや、顔が広そうな大人から繋げてもらって、社員さんに話を聞くことで実態を掴めると、入社したあと苦しまなくなると思います。
―勤めて10年目とのことですが、転職についてはどう考えていますか?
1つの会社に居続けようとはそんなに思っていません。ただまだ学べることがあるし、まだいろんな刺激があるからやめる理由がないですね。
―トルコ国籍の方とご結婚されていて双子のお子さんがいらっしゃるそうですが、結婚や出産によって変化はありましたか?
結婚前に同棲していたので、入籍したことでの変化はそんなにありませんでした。子供が生まれると、劇的に人生の価値観も変わるし、やらなきゃいけないことが増えたので、人生最大級の大きな転換期でしたね。
―育児と仕事の両立はどうですか?
両立はすごく大変です!うちの会社は、仕事量が多いのでできるかできないかはその人のキャパ次第だと思います。働くママを応援する制度として、仕事量をおとして働くことも選べます。そういう制度がある会社を選ぶというのも、長く働く上では大事かもしれないですね。
―出産のタイミングでやめようとは思わなかったのですか?
やめるという選択肢は考えませんでした。旦那が自営で安定していないということもあって、自分が大黒柱だと思っているので笑。今の時代2馬力で働くのがデフォルトの世の中かなと思うので、お互いなんかあった時にもちつもたれつで考えています。会社の周りの子も結婚・出産でやめる子は少ないです。時代の変化もあるかもしれないですが、働くのが好きな子が多いという、会社のカラーもあるかもしれないですね。
―人生のロールモデルや目標にしている方はいますか?
私が入社した時に周りに、私の部署には働くママさんがいなくて、むしろ「ロールモデルいねーよ」って言っていました笑。私は絶対子供産みたいと思っていたし、産んだ後も働き続けたいと思っていたので、ロールモデルになる先輩がいないことに最初の頃はすごくモヤモヤしていましたね。今もそんなにいないから、私がみんなのロールモデルになるのではないかと思っています。
キャリアを続けるというのは実際にまだまだ壁があると感じています。ちょっとパートしながらというのが大半なので、がっつり総合職で働きながらできるかどうかという観点は会社選びのポイントになるかもしれないですね。
―少し話は戻りますが、どのように学生時代を過ごしていたか教えてください。
勉強が忙しい学部だったので基本は勉強をしていて、長期の休みになると必ず海外に行っていました。夏暑いのが嫌いだったのでヨーロッパが多くて、フランスには1ヶ月滞在しました。
長期間の旅は社会人になるとそれなりに仕事整理して周りの理解も得なきゃいけないから、ぜひ学生のうちに行っておくといいと思います!
サークルはせずFACEで活動していたり、高校の頃交換留学で利用した団体を支える学生団体で、高校生のこれから留学する子たちに対しての活動をしていました。
一番長く働いたのが資生堂のバイトです。美容コンサルタントさんで時短で働くママさんの代わりに、夕方くらいから入り、化粧してあげるタッチアップなど一通りやっていました。
―アルバイトをしていて、自分が向いてる仕事がわかると思いますか?
バイトに任せられることは限られているから、ただ働いているだけではわからないと思います。戦略的に、目的を持って社員さんに接していくことで見えるものがあると思います。
社会人の仕事においても同様で、何を得るために何をしてるんだっていうことを考えないと、ただ働かされているだけで終わっちゃう。
―学生時代の自分に声をかけるなら?
「熱中することを見つけてください」っていうかな。就活時に自分が自信を持ってこれ頑張りましたって言えることは少なかったから、「語ることない!私の人生!」と思ってつまづきました。
―海外に長期休みは必ずいくというのはオンリーワンの経験では、と感じたのですが、そうは思っていなかったのですか?
いろんな経験はしたものの、そこで何を頑張ったかと言われると何も頑張っていませんでした。なんか行ってみてふわふわ経験していて、主体的に目標を決めていくのと比べると得るものの質が違ったとおもいます。周りからすれば、海外行くとかすごいとか思ってくれる子もいるけど、自分で納得して語れるとは思っていませんでした。
正しいか正しくないかは置いておいて、何か自信を持って言える子は強いと思います。
社会人から見て学生のやることって甘っちょろいなと思われることが多いですが、そうだとしても自分がこれだけ頑張ってこういうものを得ましたって自信を持って言える経験がある大学時代をおくれるといいかなと思います。
―大学以前に、自信を持って頑張ったと言える経験はありますか?
高校の時に1年間アメリカ・テキサスに留学した経験です。小学校の頃から12年間女子校に通っていたのですが、狭い世界にいることに違和感を感じて、留学に行きました。
高校の人数2千人居たのが、留学中にハリケーンが来てテキサスの隣のルイジアナが水浸しになり、ルイジアナの学生がやってきて人数4千人になるという…日本だったらあり得ないこともありました笑。カルチャーショックもあり、言葉の面での苦労もあり、自分で意志表示しないと何もできませんでした。これまでの人生は親の敷いたレールの上であるべき姿がある中で生きてきたんだなというのをそこですごく実感しました。世界広すぎました笑。
―留学の経験は大学選びなどにも影響がありましたか?
この経験を生かして英語試験のスコアと面接で入る推薦入試で大学に入学しました。この留学は人生で1番2番に大変なことで、やり遂げた感があったことでした。他の子達よりも頑張ってきた自負があったというのが自信に繋がって結果にも繋がったと思います。
自信を持って頑張ったと言える経験が就活の時にも大事になってくるんだろうなと思います。大学時代に何をやって、何に自信があるのかみたいなところを、面接官も聴きたいでしょうしね。
―それが溝部さんの場合は高校時代にあったということですね。
大学の頃はのらりくらりと勉強したり遊んだり、薄っぺらくいろんなことをやっていたから、成し遂げた感みたいなものがなく、ちょっと人より遅れちゃったかなみたいな笑。人生寄り道もありだよ笑。
失敗から得るものの方が多いと思うので、一回なんか無理かなと思うこともチャレンジして、「自分の中で頑張ったって思えるくらい何かを一つやってみるといい」と思います!
社会人になると、お金をもらっている以上成し遂げなければいけない責任が増えます。子供を産むと、人を育てる責任があって、これは親以外にはやってくれない責任です。
失敗してもダメージが少ない学生のうちに、ちょっと馬鹿だなと思うこともやったらいいと思います!
失敗した時に、なんでだろう?と違和感のアンテナを貼っておくとやりたいことが見つかるかもしれません。
溝部さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!
就活時期が迫ってきて、「やりたいことがない!」と焦りを感じている学生は多いと思います。他人からみて凄そうなことをなんとなくするのではなくて、主体的に目的を掲げて「自信を持って頑張ったと言える」経験が重要であると実感しました。
一度立ち止まって、「自分が頑張ったと言える経験ってあったかな」「人生で成し遂げたいことはなんだろう」と考えてみたいと思います!