この記事を読むと、
・就職することへのイメージが変化するかもしれません。
・就活を始めるのが遅くても、なんとかなるか、と思えるかもしれません。
0.筆者について
・通称「ゆっきー」
・武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科4年生(2023年10月時点)
・地元の神社からご依頼を受けて、大学1年生から四コマ漫画の制作をしている
・納得できないことがあると、行動できなくなるタイプ
1. なぜ就活するの?
私が本格的に就活を始めたのは、大学4年生の4月。周りは内定が出始める時期でした。それでも私は、あまり焦っていませんでした。なぜなら、自分が「就活を始めることが遅い」ことに気づいていなかったからです。
「情報感度が低い」といわれたら、それまでです。(エヘッ)
なぜ、ここまでのスロースタートを切ったのか。理由は3つあります。
1つ目の理由。
大学3年生の夏頃から、周りが就活をし始めました。「就活つらい」という言葉が耳に入ってるくる時期、私は、こんなふうに思っていました。
「頑張ってる姿見てるとこっちが疲れるわ。嫌ならやらなきゃいいのに。」
嫌なヤツ〜!
頑張って手に入れた大学生活を棒に振ってまで、嫌なことに時間を費やす意味がわかりませんでした。就活している時期は、短ければ短い方がいい。まだ、タイミングではない、と思っていたのです。
2つ目の理由
私は美術大学に通っています。しかし、デザイン職などの、美術に関わる職種には絶対に就きたくなかったので、持っている企業の情報が周りの学生とズレていました。あと、普通に情報共有する友人があんまりいませんでした。
そのため、自分のライバルとなる学生達が、就職に向けてどんな努力をしているのか、どんな方法をとっているのかなど、全然知りませんでした。
3つ目の理由
私は、「なぜ労働するのか」という問いに対する答えを見つけられずにいました。私はそこに納得がいかず、企業を探す前に、自分を探すことに時間を費やしていたのです。
2. スーパーアドバイザー「タクさん」とのランチ
私の人生のメンター的な存在「タクさん」。
大学4年生になる前の春、私があまりにも就活に消極的なので、ランチに誘ってくださり、お話を聞いてくださりました。そして、タクさんのナイスコーチングによって、自分について分かったことがありました。
①自分で仕事を作れる人になりたい!(PR、カフェ経営、デザイナーなど)
②将来的に、地元福島県のような、地方で暮らしたい。
③地域住民や行政、プレイヤーの人たちと繋がって地域を盛り上げる人になりたい!
スーパーアドバイザーの凄さは、気づきを与えてくれることにとどまりません。
その日のうちに、私の理想的な働き方をしている女性3人と繋げてくださったのです!
(タクさん)「自分の好きなことをして地方で頑張っている女性達の姿を生で見るのが一番!」
そして、私の「自分探しの旅」が始まりました。
スーパーアドバイザー「タクさん」
・創造支援工房FACE代表
・出会った時から見た目が1mmも変わらない(若い)
・ラインのレスが早い
・美味しいものや面白い人をたくさん知っている
3. 「地域のために」は「驕り?」〜「食堂ヒトト」を訪ねて〜
一番最初に訪れたのは、福島県福島市にある「食堂ヒトト」
ここでの出会いで、「今までの自分の驕った考え」や「就職するとはどういうことか」などについて色んな気づきを得ました。
無農薬の野菜や、種どり野菜、伝統的な作りの味噌や醤油など、からだをほっとさせる豊かな素材を使用した料理を提供するお店です。
私は定食をいただきました。
外食をした時に感じる、添加物やカロリーの背徳感は一切感じません。
お母さんが張り切って作ってくれた昼食のような心温まる実家感。1ヶ月分の野菜を食べたと言っても過言ではない、栄養バランスのとれた「丁寧な食事」を頂きました。
しかし、おいしい食事のあとにプチハプニングが…!?
お店の人に、自分の名前と、訪問した旨を伝えると、店員さんがざわつき始めました。
その日は、お店に取材が数件入っていたこともあり大忙し。そのうえ、突然大学生が人生相談に来たものだから店内プチパニック。
ちょっときまづい・・・!
そんな中でも、産休でお休み中の千葉さんに変わって、代わりの店員さんがお話を聞いてくださりました。(ありがとうございました!)
印象に残っている会話を2つ紹介させていただきます。
1つ目「どれだけ大変かも知らないで・・・」
私は将来、地域でPRやデザインの仕事をして、地域の魅力を伝える仕事がしたいと伝えました。豊かな自然、美味しい食材、楽しいイベントなど、地域には個性的な魅力がたくさんあるのに、PRがうまくできていない、と感じることが私にはよくあったからです。
そこで、もっとPRのクオリティーをあげることに貢献して、地域の魅力をより多くの人に届ける仕事がしたいと思っていました。
しかし、この想いを伝えると、思ってもいなかった一言が返ってきました。
「それって本当に喜ばれるの?」
私は、一瞬頭が真っ白になりました。
(社員さん)「私たちも、地域の美味しい食材を多くの人に知ってもらいたくて、料理という方法をとっている。でもそれは、農家の人たちが朝早くから食材のために汗水垂らして、どういう想いで食材をつくっているのか知らないとできないことだと思う。その大変さを知らずに、”やってあげる”という上から目線の気持ちでPRをするのは失礼なことだし、中途半端なものをもっていくなんて言語道断だよ。」
頭を思いっきり殴打されたような衝撃と、恥ずかしさを覚えました。
無知な自分の驕った考え、「魅力を伝える」という言葉を安易に使っていた無責任さを痛感した瞬間でした。私が伝えたかった魅力とは、消費者側から見た一面的なもので、「上手い魅せ方」に他ならなかったのです。
苦労して育て守り続けている努力を知らずに、本質的な魅力などわかるはずがない。そして、それを本当に人々に届けるほどの力が、私にはまだないことを痛感しました。
2つ目「企業に入社するということは・・・」
お話を聞いた社員さんが、とても素敵な計画を練られていることを教えてくださりました。
仲間と各々得意なことを発揮して、地元の野菜の魅力を伝えよう、というプロジェクトを行うとのことでした。野菜を育てる担当、料理担当、WEBサイト制作担当など、様々なキャリアをもったメンバーが揃っているようです。
私は、自分がPRをするだけでなく、個性的な才能をもつプレイヤーの人々とプロジェクトを動かせる人になりたいと考えていました。だからこそ、将来は脱サラして自由きままに動けるようになりたかったのです。
ここで、私の就活に対する考え方が一変する発言がありました。
(社員さん)「各々が個性的な才能を持ち寄って、一つの目標目指してチームで頑張るのって、企業も同じだと思うんだよね。企業の理念に共感した人たちが集まって成果を出すからね。」
なるほど・・・!
企業で働く=働かされるという印象が強く、これが就活に対する抵抗感を増していました。
この言葉によって、能動的に企業で働くイメージを得ることができたのです。
そして、「企業選びの軸」を考えるヒントを得られた気がしました。
4. 家族と地域で暮らす〜TILEmadeの玉川幸枝さんを訪ねて〜
将来的には地方で暮らしたいと考えているけど、地方で仕事を生み出すってどうやるんだろう?
そんな疑問を抱きながら二人目の女性に会うべく、福島県からバスで約10時間!岐阜県瑞浪市を目指しました。せっかく行くから観光もしちゃおう!ということで5泊6日の旅!(歓喜)
タイルで有名な多治見市や、飛騨高山を観光しました。
(上)まちじゅうがタイルで覆われている!どこもかしこもシャレオツな街。(多治見市)
(上)ゲストハウスとカプセルホテルに泊まり続けていたので、大雪の中銭湯へ。(飛騨高山)
雪景色の中、久々のお風呂は「ッく〜〜〜〜!こでらんねぇ!!(福島弁)」※訳:めっちゃ気持ちいい
観光を終えて、いざ瑞浪市へ!
タイルの釉薬を製造されている(株)玉川釉薬さんにお邪魔しました。
ここでの出会いでは、「地域の人たちと仕事を生み出していくこと」「家族と働くことの両立」について考えるきっかけをきただきました。
(上)今回受け入れてくださった玉川幸枝さん。
・世界一周の旅を終えたのち、様々な活動を経て家族で経営する釉薬会社で働く。
・子育てしながら会社の経営マネジメントや人事などを幅広く担当。
・古民家を借りて生活している。
・食べるのがめっちゃ早い。
3歩歩けば知り合いに「こんにちは」する玉川さん
この日、玉川釉薬さんの工場内を見学した後、お昼ご飯を食べに駅前へ、その後タイルを運ぶ作業のお手伝いをさせていただきました。
その中で私が一番驚いたのは、玉川さんの地域での顔の広さ!お昼を食べた食堂のおばさんとも雑談、駅前アーケードで出店しているお姉さんとも雑談、タイル工場のおじさんとも雑談。人と話すことが仕事なんじゃないか?と思うほど、玉川さんは、ずーーーーっと誰かと話していました。
その内容は、お子さんの話から、地域の話、タイルの話まで多岐に渡ります。そのように雑談していくなかで、地域にどんな人がいて、どんなことを求められているのか敏感に察知してるのではないかと思いました。
(上)玉川さん御用達のうどんやさん。美味しいうえにボリュームがすごい。
私が伺った時期は、タイルの新しい販路拡大に向けて準備していた段階。タイルを使ったアクセサリーなどを作ろうとされていました。誰かとコラボレーションをしたり、アイディアをもらったり、いわゆる会社での「会議」を、道端の雑談で自然と行っているような印象でした。
終始笑顔で、明るい性格の玉川さんだからこそ、みんなが話しかけたくなるのではないか、と思います。
子育てと、家族経営と
「家族」と「仕事」。この両立は私が将来を考えるうえでもネックになっているものです。玉川さんは、夕方お仕事を一旦切り上げ、子供さんのお迎えに向かいました。働く時間は、終始小走りで、とても忙しそうだった玉川さん。家族との時間と仕事の時間を切り替えているのではないかと思いました。
玉川さんは、お父様から引き継いだ(株)玉川釉薬を職人のお姉さんと一緒に経営されています。
(上)玉川さんのお姉さんの作業工程を見学。
(上)タイルの運搬作業後の様子「黒い服なんで着てきたの?」と言われました。
玉川さんは、ご家族を含めた従業員のこともタイルと同じだけ考えている印象でした。私が地元に戻って起業するなら、地元に対する想いを共有できる身近な人や家族と一緒に働く可能性は高いです。
やはり、地方で0からスタートしたり、なにかを生み出していくには、それだけ人の協力が必要で、人脈や同じ想いを持った仲間が必要不可欠なのだと感じました。
6. 豚さんのテーマパーク?!まじ大変そうだけど、超楽しそう〜有難豚の高橋希望さんを訪ねて〜
最後は、宮城県くりこま高原にある養豚場を訪問しました。
ここでは、「遊ぶように働くみなさんの姿」がとても印象的でした!
くりこま高原には、イケてる大人がたくさん!
(上)※黄色い帽子が高橋さん
・ずっとニコニコされている
・部屋に可愛い雑貨がいっぱいある
・いいタンパク質をとっているおかげか、肌がすごく綺麗
・愛情深い
縄文土器を制作されている方、見た目が DJそのものなのに実は神主の方、ユニークな大人がカフェに集まり、みんなで談笑している姿が印象的でした。
遊ぶように仕事を生み出す
くりこま高原で出会った方々の「やりたいことを仕事にしている姿」にとても憧れたのを覚えています。「あそこのおじさんに、これをプレゼントしたら喜んでくれそう」と商品開発している感じ・・・(笑)そんなお話を聞くと、遊びが仕事を生み出しているような印象をもちました。
(上)くりこま高原で出会った個性的な人たちを、私お得意の四コマ漫画にして記録。
すると、その四コマ漫画を喜んでくださり、食事代をチャラにしてくださったり(笑)
出会ったほとんどの人が空き家を趣味の家に改築しているのも衝撃的でした。
地方でのびのび生活しながら、好きなことを仕事にしている姿。そして、大変な時は街の皆さんで助け合い、支え合っているとてもすてきな場所でした。
私も「粋な大人」になりたーーい!
(上)高橋さんとの会話の記録。
本当に好きな気持ちが、人に届く。
ちょうど豚の赤ちゃんが誕生していた時期に訪問したので、高橋さんは早朝から夜遅くまで豚さんのお世話で大忙し。高橋さんの豚さんへの愛は我が子に与える愛そのもの!その愛が豚さんにも伝わって、愛おしく、可愛らしく育っているのだと思いました。
養豚場では、豚さんの可愛さだけではなく、人間のエゴによる養豚場の悲惨な現状などを学ばせていただきました。
高橋さんの豚さんへの「好き」という気持ちが人に伝わり、そこから新たなつながりや販路が生まれてるのだと感じました。大学生と一緒に開発した「ラーメン」を食事代として、街の人に配っている様子が印象的だったのを覚えています。まさに、「物々交換の世界」。
お金で何でも買うのではない、豊かな世界を垣間見ることができました。くりこま高原の皆さんの「好き」「楽しい」「誰かのために」という気持ちが新たな物やサービスを生み出し、それが仕事になっていくのだと実感しました。楽しかったー!
(上)犬や猫すらだっこしたことないのに・・・!豚の赤ちゃんを抱っこして、めちゃビビっている様子。
7. 私にとって「働く」とは?
私は今回の旅を通して、生活と仕事が密接に関わっている世界をたくさん見ることができました。
お金を稼ぐために働くだけではなく、人とのつながりや心の豊かさにつながる行動をとっていった結果、お金が生まれているような印象でした。ただ、「楽しい」や「好き」だけで成り立つものでもなく、そこには人知れない努力や苦労が隠されていることも痛感しました。
将来像が明確になってきた今、私が取るべき行動は「就職活動」でした。
今の私は、企業がどんなふうに利益を生み出しているのか、どのような組織で成り立っているのか、何も知りません。それに加えて、自分の得意なことや好きなことを社会や人のために活かす方法もわかりません。
自分で仕事を生み出せる人になるために、まずは新卒で入社してビジネススキルを身につけることに決めました。
今回、お忙しい中、一人の大学生のために時間をつくってくださった御三方に感謝しています。
また、素敵な出会いを繋げてくださったタクさんも、ありがとうございました!
この記事を読んで、働くことに疑問を抱く方が何か行動したり考えたりするきっかけを得てくださったらとても嬉しいです。
最後までご拝読いただき、誠にありがとうございました。